意見書
2022.03.28

経口中絶薬の承認審査にあたり、女性を守るための総合的な検討を求める意見書 外科的な手術をせず飲み薬で人工妊娠中絶ができる経口中絶薬は、世界保健機関(WHO) もその安全性を認めており、広く使用されるべき薬として必須医薬品に指定されています。 現在、約 80 の国及び地域で使用されていますが、これまで日本では認可されておらず、2021 年 12 月、英国の製薬会社が日本で初めて厚生労働省に承認を申請しました。 経口中絶薬を用いての中絶は、医学の進歩であり、これまで用いられてきた吸引法やそう は法と比較し、母体にかかる負担を軽減できる他、中絶のみならず流産した際にも使用でき る点で優れており、市民団体の署名活動により4万人分余りの署名が厚生労働省に提出さ れる等、待望する声が多くあります。経口中絶薬の承認によって女性が自分の健康を守る上 での選択肢が広がることは、女性の自己決定権の尊重にもつながります。 一方で、服用により多量の出血や副作用が起こるリスクも指摘されています。また、経口 中絶薬の承認により、「薬で簡単に中絶できる」という捉え方をされるようになるのではな いかという懸念が生まれます。そのため、経口中絶薬の承認により望まない妊娠を防ぐため の対策も必要です。承認の審査過程において、女性の健康を守るための総合的な検討を求め ます。 よって、文京区議会は政府及び国会に対し、下記の事項について実現するよう強く求めま す。 記 1 経口中絶薬の処方にあたり、女性の健康を守るための充分な説明と精神的ケアを行う こと。 2 処方後の健康管理も含めた医療提供体制の整備を行うこと。 3 望まない妊娠を防ぐための包括的性教育や相談体制をさらに強化すること。 以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出します。 令和4年3月24日 文京区議会議長 田中 としかね 内閣総理大臣 岸田 文雄 様 文部科学大臣 末松 信介 様 厚生労働大臣 後藤 茂之 様 衆議院議長 細田 博之 様 参議院議長 山東 昭子 様