前回の記事で文京区の令和2年度予算案について書きましたが、今回はその中でも重点施策の一つとなっている保育所待機児童解消緊急対策について取り出して書いてみたいと思います。
待機児童の解消を図るため、本事業に来年度は31億6,763万8千円の予算を計上しています。
➢文京区の待機児童の現状
文京区の0歳~5歳の児童人口は、今年1月1日の時点で12,323人。
全国的には少子化が進む中、文京区では出生数とともに就学前児童の人口は増え続けていて、昨年4月1日時点で待機児童は46人となっていました。
数値的に表れているのは46人ですが、この他にも
・前年度以前に入園できず保護者が育休を延長しているケース
・育児のため保護者がやむを得ず求職活動を休止しているケース
・希望している園に落ちたので仕方なく利用しているケース
・本当は兄弟で同じ園に入りたいけれど、やむなくそれぞれ別の園に通っているケース
等、この数にカウントされない隠れ待機児童の実態があります。実態とニーズを的確に把握し、保育サービスのさらに拡充する必要があります。
➢保育量の拡充
区は保育ニーズの高まりに迅速に対応するために、昨年も私立認可保育所等の開設を積極的に進め、1年で合計16施設、定員1,049人を拡充しました。
そのような中、今年の保育園等の入園応募状況の速報値が出ました。
細かく見てみると、応募者総数が2,116人に対し、第1希望の園に入ることのできる人数が単純計算で565人。特に0歳児と1歳児の倍率が高くなっています。
文京区の入園希望申請書には保育施設を第1希望から第5希望まで記入できるようになっていますが、これは第1希望の園に割り振った数字です。実際にどの園に入って、希望者一人一人の「待機」の状況はどうなったかということは4月以降に分かるため、引き続き状況を注視してまいります。
区は来年度、私立認可保育所を拡充する他、開設時に5歳児の募集をしない新規園に関しては、空いている部屋を活用した定期利用保育を実施する等の方法により、新たに1,140名分の定員を確保するとしています。
私も前述した隠れ待機児童も含め、年齢や地域等によるニーズの特色を、皆さまから直接いただくご意見等を通じて把握し、それぞれのご家庭に寄り添うサービスの拡充に努めてまいります。
➢保育の質の確保
量ばかりでなく、保育の質もともに確保しなければなりません。
特に、昨年10月より始まった幼児教育保育無償化の対象となった認可外保育園については、国が定める基準を満たすことが必要ですが、基準を満たさない場合でも5年間は猶予期間として認められることになっています。これを受けて会派としても昨年末、要望書の中に、子どもの安全について監督・指導を絶やさいことを要望しています。
予算案の中で区は、「私立認可保育所等の開設が多数予定されていることや、幼児教育・保育の無償化に伴って、認可外保育施設に対する保育の質と安全確保のための対応が求められることから、子ども・子育て支援法に基づく指導検査及び私立認可保育所等への巡回指導を両輪とした指導体制を強化し、実施・訪問回数を増やす 」としています。取り組みをしかっりとチェックしてまいります。
また、他の事業にも関わることですが、保育の量とともに確保しなければならないものはたくさんあります。
・潜在保育士の掘り起こしを含めた保育士のニーズ把握
・保育士の離職を防ぎ定着・増員を図るための施策のさらなる拡充
・病児・病後児保育のさらなる拡充や、LINE予約サービス等の導入による効率化
・スキルを持った事業者を積極的に誘致する等の医療的ケア児の受け入れ体制強化
・発達に応じたケアができる場の拡充
等、増加する子ども一人一人の個性に寄り添う子育てを行えるよう、引き続き区に要望していきたいと思います。